大手企業の3社に1社が導入する統合人事システムを手掛ける。膨大な顧客基盤とデータを生かし、人材マネジメントなど事業領域の拡大を急ぐ。

 ライオン、ニトリ、東宝、農林水産省──。大手企業から官公庁まで、業種を問わず幅広く導入されているサービスがある。その名は「COMPANY(カンパニー)」。WHI Holdings(HD、東京・港)が提供する統合人事システムだ。

1000社超が導入
1000社超が導入
主力の統合人事システム「COMPANY」を軸に、WHI Holdingsの安斎富太郎社長CEO(最高経営責任者)は事業拡大を狙う

 カンパニーは人事管理や勤怠管理、給与計算、人材開発などの人事労務機能を統合したシステム。人事管理であれば、人事・給与業務に関する人事情報の収集や履歴管理などを一気通貫で実施できる。2021年末時点で、大手企業を中心に1151社で導入済み。大手企業の3社に1社が使っている計算だ。

 WHI HD傘下の事業会社Works Human Intelligence(ワークスヒューマンインテリジェンス、WHI)が事業を開始したのは19年8月。だが、その源流は1996年設立のワークスアプリケーションズに遡る。会社分割で米投資ファンド・ベインキャピタルの出資を受けて独立した。

業界ごとの商習慣に対応

1000社を超える顧客を抱える、主力の統合人事システム「COMPANY」のメイン画面
1000社を超える顧客を抱える、主力の統合人事システム「COMPANY」のメイン画面

 強みは、業界ごとの商習慣へのきめ細やかな顧客対応だ。海運会社の場合、地上で勤務する社員とは適用される法律が異なる船員向けの労務管理システムをアドオン(拡張機能)として提供。他の業種でも同様に展開する。「各業界の規制・慣習に従ったアドオンを、標準機能として提供できる人事ソフトは他にない」と、WHI HDの安斎富太郎社長CEO(最高経営責任者)は語る。

 「人事インフラ」と言える基盤を生かし、WHIは大企業の人事・総務担当者と行政をつないできた。

 運営する「ユーザーコミッティ」には、顧客企業の9割以上が参加する。大企業を中心に人事や総務担当者が、日々の業務の悩みについて情報交換する。WHIは議論の中から企業側のニーズを吸い上げて、行政に制度改善を促す。逆に、行政から新たな施策を実行する際に相談を受けることもある。制度改正などをいち早く察知して、サービスへの対応を進めやすい体制を構築している。

 安定した収益基盤を持つものの、安斎氏は攻めの姿勢を崩さない。「今後は申請や給与支払いのような定型的な業務に加え、人材の有効活用に役立つサービスを提供したい」と、事業領域の拡大へ意欲を見せる。人材の流動化が進み、企業人事に戦略性が求められるのを商機と捉えている。

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