この記事は日経ビジネス電子版に『農業AI×ドローン、農薬削減で高付加価値米 オプティムが全国展開』(1月5日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』1月10日号に掲載するものです。

新型コロナウイルス禍で外食需要が減少し、農業にも打撃。農家の経営改善が求められている。データ解析とドローンの融合を通じ、グリーン農業での付加価値向上につなげる。

ピンポイント散布
<span class="fontSizeL">ピンポイント散布</span>
農薬が必要な箇所を見極めるため、空撮画像をAIで解析。病気や害虫の発生地点に自動操縦のドローンを飛ばして散布する

 ギュイイーン。福島県白河市の農地で、全自動飛行のドローンが空に舞い上がった。気象データや病害虫の発生状況を基に、農薬をまくサービスだ。手掛けるのはIT(情報技術)企業のオプティムだが、「決して薬をまくのが目的ではありません」と農家に強調している。

 従来の農業ビジネスでは、農家にできるだけ多くの資材を買ってもらうという事業モデルが多かった。オプティムは逆に、不要な時期や場所を人工知能(AI)などで見極め、農薬の削減に取り組んでいる。

 「200万~300万円台のドローンを農家が単独で買うことも推奨していない」(吉田慎吾リーダー)。数軒の農家で1機のドローンを共同購入することはあるが、それでも空から農薬や肥料をまくのは年数回なので、常に保有する必然性はないという。

農業にアフィリエイト型

 7年間の減価償却や年20万~30万円の保守費を考えると、ドローンを持つ場合は年60万円程度の負担になる。しかも新型コロナの影響で外食需要が落ち込み、コメの販売価格は下がった。平均的な収量、卸値、小規模な兼業農家も含む耕地面積から単純計算した1戸当たりの稲作の手取りは196万円。大規模経営でないと収入に対し3分の1近くがドローンの保有コストで消えてしまう。

 かといって、ドローンのレンタルで稼ぐ戦略でもない。環境に配慮した生産条件などを満たせば、サービスの利用料すら取らない。では、どう稼ぐのか。オプティムは契約農家からコメを買い取り、それを消費者に売ることで収益を得る。

「スマート米」契約は全国に広がる
●2021年産米の取扱量
<span class="fontSizeL">「スマート米」契約は全国に広がる</span><br />●2021年産米の取扱量
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 買い取り価格は地域の農協と同じ水準。薬剤や化学肥料を抑えていることを付加価値として訴え、残留農薬が不検出のコメを「スマート米」という名前で商品化した。

 アマゾン・ドット・コムや楽天市場、自社の電子商取引(EC)サイトなどで農薬を何%削減したか明記して売る。例えば石川県奥能登産のコシヒカリ(無洗米)は1kg当たり約930円と、一般的な同県産コシヒカリ(無洗米)より5~7割高く売れる。

 創業者の菅谷俊二社長は「ネットの世界だったら、アフィリエイト(成果報酬型広告)モデルは当たり前」と語る。農業に置き換えると、同社は農業生産のための支援プラットフォームを提供。成果物であるコメの売り上げの一部を受け取る。

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