1都3県で食品スーパー「サミットストア」を展開するサミット(東京・杉並)の業績が好調だ。強さの源は、どうすれば楽しんでもらえるかと社員一人ひとりが自分で考えて行動する会社になったこと。生き生きとした組織からは、前例にとらわれないユニークな企画が次々と生まれている。

この夏、57年ぶりに開かれた東京五輪・パラリンピック。開幕まであと1カ月余りに迫った6月中旬、「五輪仕様」に装いを変えた食品スーパーがある。東京都武蔵野市の「サミットストア武蔵野緑町店」だ。
「男子三段跳び18m29cm」「女子走り高跳び2m09cm」といった世界記録を店内のあちこちに掲示し、床には野球のバッターボックスなどを描いた。ベーカリーコーナーには、実際の高さでバスケットゴールを設置。飲料棚を使って、実物大のサッカーゴールも再現した。
サミットは五輪のスポンサーではないため、五輪を想起させるデザインや演出はできない。その中で何ができるかと三上達士店長は知恵を絞った。「生涯に1度あるかどうかのイベント。見に行きたくても見に行けない社会情勢の中、せめてアスリートのすごさを体感してもらえたら、何か記憶に残るかもしれない」
この店が奇抜な企画で客を引き付けようとしたのは初めてではない。店内の喫茶スペースを開放して地域の小学校の学習発表展を催したり、卒業シーズンに店長自ら作成した祝辞を張り出したりもしてきた。プロ野球のどの球団が月間1位になるかを予想するコーナーを常設するなど、食品スーパーの枠を越え、地域の交流の場ともいえる役割を担っている。
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