新興勢が大手のナショナルブランドと戦い、シェアを奪うのは困難だと、多くのビジネスパーソンは考えるかもしれない。数年前まで小さなスタートアップだったI-neは、ヘアケア製品で売れ筋10傑の3つを占める有力プレーヤーに躍り出た。ブランドの見せ方を突き詰めたSNS強者。データ重視と足で稼ぐ営業も大切にする泥臭さとが成長を導いている。

(2)本社の内装もボタニカルをイメージしている(写真=宮田 昌彦)
(3)主力の「ボタニスト」は植物由来成分の配合と中価格帯で人気
「使用感がよく、価格も手ごろで、このところ続けて使っています」。多くのドラッグストアで大手メーカーの定番品と並び、棚の真ん中に置いてある「ボタニスト」ブランドのシャンプーやトリートメント。愛用する30代の女性会社員はこう話す。店頭では「透明のボトルが目を引く」という。
植物由来の成分を配合した「ボタニカル」と呼ばれる分野の先駆けとなったボタニスト。ドラッグストアのシャンプーの買物指数(来店者数100万人当たりの売上金額、調査会社トゥルーデータ調べ)で2020年、ボタニスト銘柄は10位までのうち3つを占めた。
SNSから生まれたブランド
ネット通販にも強く、20年の楽天市場年間ランキング「美容・コスメ・香水」で総合2位。ボタニストにはヘアケアのほかボディーソープやスキンケア製品もあり、15年の発売以来の累計で1億本以上を売るヒットとなった。
ボタニストを手掛けるI-ne(アイエヌイー)は07年に創業。髪を整えるヘアアイロンなども扱い、美容領域にIT(情報技術)を掛け合わせたビューティーテック企業と称している。自社で工場を持たず、生産を外部に委託するファブレスのメーカーで、本社は大阪市。ボタニスト発売後の躍進は目覚ましく、それまで30億円ほどだった売上高が15年12月期に66億円に倍増した。20年12月期は233億円に伸び、同年9月に東証マザーズ市場に上場した。
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