出版不況と逆行するように、過去4年で読者数を2倍以上に増やし、女性誌カテゴリーで首位を独走する。シニア女性をつかむ秘訣は、思い込みを捨てて悩みに向き合い、持ち続けている「乙女心」をくすぐること。前身が民事再生法の適用を申請してから12年。多くの企業や自治体が頼るプラットフォームに生まれ変わった。

<span class="fontBold">ハルメクを姉妹で愛読する黒田由美さん(右)と益子恵美さん</span>
ハルメクを姉妹で愛読する黒田由美さん(右)と益子恵美さん

 「ユニクロよりハルメクよね」

 横浜市に住む益子恵美さん(60)のお気に入りは、ハルメク(東京・新宿)の通販で買ったブラックのパンツだ。「(若者向けの)ユニクロも着られると思っていたけど、私の年齢層に合わせて開発した服の方がいいみたい。実際に着てみると体にフィットしている」と益子さん。娘からも「今日のパンツはすっきりして見えるね」と褒められた。

 仲良しの姉、黒田由美さん(62)も、今ではすっかりハルメク愛好家だ。これまで補正下着は「ワコールじゃないと」と決めていたが、益子さんの勧めでハルメクの読者に。下着を購入したら「かゆくならず、涼しい。締め付け感もない」と評価が一転したと話す。

 姉妹が愛読するのが、50代以降のシニア女性を対象とする月刊誌のハルメクだ。日本ABC協会(東京・千代田)のまとめでは2年連続で女性誌カテゴリーの首位となり、2020年下期の平均販売は37万部を超えた。2位は約17万部の女性セブン。週刊誌なので単純比較は難しいが、倍以上の差がある。

 同協会の加盟雑誌の販売部数は右肩下がりが続き、20年下期は17年下期と比べ約3割減少した。対照的にハルメクは、同期間で部数を2.3倍に増やした。長引く出版不況の中、シニア市場を開拓して成長する異例の存在だ。

 徹底的にシニアに寄り添った誌面作りが人気の秘訣だ。最新の21年8月号ではスマートフォンの操作法を特集した。多くの人がつまずく「タップ」の方法を、「指の腹でゴマを拾い上げる力加減で押すのがポイントです」と絶妙に表現する。分かりやすさが口コミを呼び、新たな読者を呼び寄せている。

<span class="fontBold">ハルメクは定期購読者向けに200ページ弱の雑誌と通販商品のカタログ、計3冊を届ける。写真はスマホ特集を掲載した21年8月号</span>(写真=スタジオキャスパー)
ハルメクは定期購読者向けに200ページ弱の雑誌と通販商品のカタログ、計3冊を届ける。写真はスマホ特集を掲載した21年8月号(写真=スタジオキャスパー)

 読者が増えるに従い、ハルメクの売上高の8割を占める通販事業も拡大。定期購読者と通販利用者の合計は約70万人に達し、21年3月期の売上高は150億円と過去最高を更新した。

ハルメクの売上高は過去最高となった
●売上高と営業利益の推移
<span class="textColTeal"><span class="fontSizeL">ハルメクの売上高は過去最高となった</span><br />●売上高と営業利益の推移</span>
出所:ハルメク

 時計の針を巻き戻すと驚きは増すかもしれない。ハルメクの前身は、12年前に経営破綻した会社だからだ。

続きを読む 2/4 民事再生を経て復活

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