<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 日経ビジネスLIVEでは9月28日、29日の2日間にわたり「スモールビジネスから始まる『ネオ日本型経営』」と題したWebセミナー(ウェビナー)を開催します(受講料はどなたでも無料、事前登録制)。9月28日16:20~17:10のセッション「コロナでも成長、カギはデジタルトランスフォーメーション(DX)」には、工具や消耗品の「即納」に挑むなど、DXの先進企業として知られるトラスコ中山でデジタル戦略本部本部長を務める数見篤取締役が登壇します。

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 セッションではDX推進における課題をいかに克服し、成果を上げるかについて議論します。そこでトラスコ中山の取り組みを紹介した日経ビジネスの記事を再掲載します(記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです)。

一般的に「悪」とされる在庫にこだわる逆張り戦略で、売り上げを拡大。「置き薬」ならぬ「置き工具」という、最終顧客とつながる新規ビジネスにも乗り出した。求める商品を先回りして届けるという、究極の「即納」に挑む。

MROストッカーの特徴
1.過去のデータなどから棚に置く商品を選定
2.販売実績や季節などから商品を変更
3.在庫が減ると商品を補充
<span class="fontSizeL">MROストッカーの特徴</span><br />1.過去のデータなどから棚に置く商品を選定<br />2.販売実績や季節などから商品を変更<br />3.在庫が減ると商品を補充
「MROストッカー」では専用の棚に100種類を超える工具や消耗品が置かれている(トラスコ中山のデモ展示)

 東海道新幹線の米原駅からクルマで1時間の場所にある物流機器大手、ダイフクの滋賀事業所(滋賀県日野町)。幅広い業種向けの物流システムを手掛けるこの工場の一部門では、あるサービスを導入することで手袋や溶接チップ、マスクといった消耗品を販売店に個別発注する必要がなくなった。

 サービスの名は「MROストッカー」。機械工具卸のトラスコ中山が手掛ける。「置き薬」ならぬ「置き工具」と同社が説明する通り、必要な工具や消耗品を工場内に常備するサービスだ。

<span class="fontBold">スマートフォンアプリで購入できる(藤森工業の静岡事業所)</span>
スマートフォンアプリで購入できる(藤森工業の静岡事業所)

 購入方法はいたってシンプルだ。工場の一角に置かれた専用棚から必要な工具や消耗品を選び、スマートフォンの専用アプリで商品のバーコードを読み取る。画面に数量を入力するだけで会計が完了する。

 滋賀事業所ではこれまで消耗品の購入などは見積書を都度入手してから納入業者に発注しており、経理処理が煩雑になっていた。「消耗品を中心に細々とした発注行為が省けるので業務負荷が軽減できる。ほぼ毎日使っている」と、ダイフクのイントラロジスティクス事業部の遠藤和宏・製造課長は話す。

 作業員が商品を持ち出すとシステムが自動的に発注して、販売店が補充する。専用棚には一定量の商品が並び、在庫がなくなる心配もほとんどない。顧客の1社である藤森工業の静岡事業所に勤務する中内素貴・製造課長は、「発注漏れなどのヒューマンエラーが防止できる」と話す。

 トラスコは2020年1月にサービスを開始し、現時点で82カ所に導入済み。「製造業だけでなく建設現場からの引き合いも多い」と話すのは、トラスコのeビジネス営業部MROサプライ東京支店の貝谷あかね氏だ。23年に560カ所以上へ導入することを目標に、営業活動を強化していく。

 江戸時代から続く置き薬の工具版。こう表現すると目新しさは感じられない。だが、トラスコにとっては大きな意味を持つ。専用棚を設置して「即納」できる体制を整えれば、その工場や拠点における工具や消耗品の調達を半ば独占できるようになる。他の卸売業者と見積もりを比べられ、失注するリスクも避けられる。さらに、スマホアプリで集める購買データはトラスコにとって新ビジネスの種にもなる。

続きを読む 2/5 在庫は「悪」じゃない
日経ビジネス2021年7月12日号 54~58ページより目次

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