だが、この建物を拠点にする270人の研究員こそが、日覺氏がいう超長期での研究開発を手掛けるフロントラインを担う。先端材料研の真壁芳樹所長は「このセンターでは、50年先のソリューションを考えている」と話す。

 センター内の誰もが知る有名人にも話を聞かせてもらった。先端材料研で新エネルギー材料研究室長を務める菅谷博之氏。「リサーチフェロー」の肩書も持つ、分離技術の専門家だ。分離膜の研究を続けながら、学会で会誌の企画編集を担当したり、大阪大学などで教壇に立ったりしている。

 菅谷氏は「他社では学会の講義を聞きに行くことはあっても、事務局の活動までするケースは少ないと思う。会誌の原稿の打ち合わせなどを通じて、その道の権威とつながりができるのは貴重だ」と話す。こうした社外活動で築いた人脈を交流会を開くことなどで社内に還元している。

 現在6人いるリサーチフェローは1992年に導入したポストだ。画期的な研究成果を上げた研究者をラインの管理職以外でも処遇することで、長期にわたって研究開発に専念できる風土づくりを狙った。支給される活動費は原則、上司の許可なく自由に使える。

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