INTERVIEW 
SAPIX YOZEMI GROUP 高宮敏郎共同代表に聞く
講師に気持ちよく授業をしてもらう

<span class="fontBold">三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)を経て2000年、祖父が立ち上げた高宮学園入り。09年から現職。</span>(写真=栗原 克己)
三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)を経て2000年、祖父が立ち上げた高宮学園入り。09年から現職。(写真=栗原 克己)

 SAPIX小学部の合格実績は、生徒一人ひとりに向き合い、いい授業をしよう、いい教材をつくろうという積み重ねの結果だと思います。代々木ゼミナールは講師のために我々が舞台を用意するカルチャー。SAPIXも基本的に同じで、講師ができるだけ気持ちよく授業ができるようにと考えてきました。マネジメントとしては現場に好きに取り組んでもらうことが大切です。

 予備校・学習塾はM&A(合併・買収)が時々あり、「今まで通りのやり方でいい」というケースと買った側の論理でいろいろ進めるケースがあり、どちらがいいと言い切れません。私は現場に多くを委ねています。その意味で非常に現場が強い組織です。「こうではないか」と思っても言うことを聞いてくれるわけではありませんが、それでいいと思っています。

 私が口を出した数少ないことの1つがSAPIXのキャラクターについてです。キャラクターの付いたシールを授業で正解した時などに配っているのを見て「子供が本当に喜ぶのか。要らないのではないか」と考え、一時的にやめました。しかし、特に低学年の生徒にとって正解するとキャラクターの付いたシールをもらえることがモチベーションになっていると分かり、すぐに元に戻しました。小さなことのように見えるかもしれませんが、それくらい現場のいろいろな取り組みが積み重なって今の形になっています。

 難関校専門の塾とみられることがありますが、上位クラスでなくてもそれぞれの志望校に入っています。1学年5000~6000人の生徒がいて、高校受験にまわる生徒は100人未満。講師もこうした生徒を支えようとがんばっています。宿題量が多いと言われることもありますが、通塾の日数などが他塾より少なめで、その分家庭学習に重きを置いているからであり、早い段階で自分をコントロールする習慣が身に付き、大学入試などにも役立つと思います。

 講師育成が急務で、低学年の募集を多くの校舎で停止しています。じくじたる思いです。講師不足の解消を優先するため、今は首都圏、関西以外の進出を考えていません。企業の寿命30年説は日経ビジネスが言い始めたそうですが、SAPIXは30年を超えている。「塾屋」として思いや熱量を今の時代に合った形で伝えていくことが、30年説を乗り越えていくことにつながると考えています。(談)

日経ビジネス2021年5月3日号 50~53ページより目次
まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「ケーススタディー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。