この記事は日経ビジネス電子版に『教育もリクルート(上)「スタディサプリ」、失敗からの急成長』(3月24日)、『教育もリクルート(下)高校に密着営業、コロナ禍乗り切る』(3月25日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』3月29日号に掲載するものです。
リクルートが教育分野の柱としている授業動画の配信サービス「スタディサプリ」。大学受験生らが自習する教材として、全国の高校の4割にあたる2000校で使われている。一度は失敗で終わるかに見えた事業が、他社を大きく上回る急成長を遂げるまでになった背景には何があるのか。

東京スカイツリーのすぐ近く、東京・墨田の都立本所高校。放課後になると、生徒がスマートフォンを見ながらノートにペンを走らせる。「苦手分野を補強するために、スタディサプリを使っています」。3年生の学年主任を務める教員、大和雅俊氏が説明した。

スタディサプリはスマホやタブレット、パソコンで自習するために作られたデジタル教材だ。小学4年生から高校3年生までに学ぶ5教科18科目について約4万本の授業動画をそろえている。1つの画面に、独自のテキストと講師の授業の様子が映し出され、生徒が自分のペースで学ぶ。月1980円(税別)を支払えば利用し放題のサブスクリプション型サービスで、リクルートに4月1日に統合する完全子会社、リクルートマーケティングパートナーズ(東京・品川)が運営している。
2012年にサービスを提供し始めた当初、授業の動画を有料で配信していたのは、予備校が自社の生徒に提供する程度だった。動画の数を豊富にそろえ、誰でも使えるようにしたのはスタディサプリが先駆けだ。
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