「農家のコンビニ」と称され、ホームセンター業界で異彩を放つコメリ。農家専任の担当者を置いて信頼を得て、競合関係にある農業協同組合(JA)との提携を複数進めている。JAにまで頼られるコメリの強さは、人口が少なくても出店できる低コストの店舗運営がベースにある。

ハード&グリーンの商圏人口は1万人。周辺にコメリ以外の店舗がない地域も多い

 「今度の除草剤はこれでいいと思う?」「どんな病害虫の可能性がある?」

 農業のプロである農家から日々こんな相談を受ける人たちがいる。農業協同組合(JA)の職員ではない。ホームセンター業界で独自の地位を築いているコメリの「農業アドバイザー」だ。

農業アドバイザーの志田氏は「農家の外商」を自任(写真=増井 友和)

 新潟市や新潟県の見附市、三条市、加茂市などを担当する志田修氏もその1人。志田氏は管内にある約230のコメや果樹の農家を毎日訪問し、近況を聞いたり、商談をしたりしている。

 「商品も売るけど、相談事を解決するのが仕事」。こう語る志田氏は、担当農家の田んぼでトラブルが起きればタブレット端末で撮影して店に戻って調べ、結果をフィードバック。新潟県の機関である農業普及指導センターにも足しげく通い、最新情報を入手する努力も怠らない。顧客の農家が使えそうな補助金があるとなれば条件や申請方法も調べる。

 志田氏の前職はJA職員だ。もともと農業の知識があり、新しい薬剤を試す際の方法なども提案できる。若く経験が浅い農家の顧客が志田氏の助言に従ってドローンなどを導入し、コストを削減したこともあるという。

 「私は外商なもんですから」。志田氏は担当の農家が困っていることを聞き出し、適切な助言をする農業アドバイザーの仕事をこう表現する。

 コメリには志田氏のような農業アドバイザーが100人ほどいる。全国46都道府県にある各地の店舗を拠点に、その地の土壌や栽培作物に応じた農薬や肥料などを助言。農薬や資材にとどまらず、石油ストーブや除雪機など生活用品を受注することも多く、農家のビジネスと生活に入り込んでいる。志田氏が約230の農家から受注する扱い高は年8000万円にものぼる。

続きを読む 2/5 米穀商から農家のコンビニへ
日経ビジネス2021年3月15日号 72~76ページより目次

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