INTERVIEW 
和佐見勝社長に聞く
取引先の成長が自社を伸ばす、利他の考え重視

 新型コロナウイルスの感染拡大によってEC(電子商取引)の需要は増えました。食品スーパーやドラッグストアの物流需要が落ち込みましたが、2021年3月期連結で売上高1100億円、営業利益79億円とどちらも過去最高を見込んでいます。

 そういう意味ではEC分野に参入しておいてよかった。今のように急速に市場が拡大する前から、欧米に出向いてEC関連の物流事情を視察していました。いずれ日本にもこういう時代が来ると考えていた。

 日本で10年代に入ってEC市場が広がると、宅配各社は増える荷物を背負いきれなくなり、苦しんだ。特に大手は荷物の配達だけでなく集荷も担います。そこが収益の源泉でもあるわけですが、配達する荷物の量が増えていけば、いずれ業務に差し支える。EC事業者には、配達に特化した新たな物流網の構築を提案してきました。


<span class="fontBold">物流センターの運営も含め、企業の物流を一括管理する3PLで成長。その後EC分野に参入した</span>
物流センターの運営も含め、企業の物流を一括管理する3PLで成長。その後EC分野に参入した

 17年、同分野に本格参入後、ラストワンマイルの配達網を支えているのは協力会社や個人事業主といった外部のパートナーです。我々の企業文化の基本にあるのは相手、すなわち取引先の成長を支えることが自らの成長につながるという利他的な考えです。配送だけでなく、企業の物流センターの運営も請け負う「サード・パーティー・ロジスティクス(3PL)」の事業で当社が先行したのも、そんな考えが基本になっています。

 外部パートナーに提供する様々な経営支援のメニューは、リース会社などの協力で成り立っていますが、支援に際し、手数料などは一切頂いていません。丸和運輸機関のスケールメリットをそのまま享受してもらっているわけです。社内には「手数料も収益源にしたい」という声もないわけではないですが、パートナーとしてフラットな関係を築いた方が、将来的なビジネス上のメリットは大きいはずです。

 働く環境も同様です。運輸業界は長時間労働が常態化してきました。我々は今、MQAに参加する個人事業主の実働時間を原則1日8時間以内としています。繁忙期はそれを超えますが、それでも週60時間以内に拘束時間を抑えるのが目標です。必要に応じて応援の車両やドライバーもあてがいます。目先の利益水準は落ちるかもしれませんが、長期的には働き手に安心感を持ってもらうほうが労働力を維持する上で重要だと考えています。(談)

日経ビジネス2021年2月8日号 52~56ページより目次

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