INTERVIEW 
二輪事業本部長 安部典明常務執行役員に聞く
ホンダらしいものづくり復活目指す


(写真=菊池 一郎)
(写真=菊池 一郎)

 成熟した先進国のユーザーには、手ごろな価格で、手間もかけず、自然に触れる新しいライフスタイルを示すこと。東南アジア諸国連合(ASEAN)向けには「コミューター+α」の新しい需要に応えること。CT125はこの両者のニーズを満たすことを目指し、実現した。我々の強い資産であるカブに、どのような付加価値を載せられるのか。タイと日本のメンバーでかんかんがくがくの議論をして何度も擦り合わせた。

 事業効率を引き上げる上では、日本でも、アジアでも売れる商品をつくることがより重要になっている。アジアはマーケットが大きく、新しいコンセプトの商品に反応してくれる顧客が少なくない。体格や街のサイズも日本に近く、商品設計上の共通点が多い。(市場規模が小さい)日本だけをターゲットにして商品開発をするよりも、リスクが分散できるため、新しい挑戦もしやすい。

 創業者(本田宗一郎氏)は、「いつの時代でも、年をとった大人たちよりも、若い人たちの方が偉い」と語った。新興国のメンバーは、若く、情熱的で、面白そうだと感じたことには貪欲に取り組むエネルギーがあり、仕事を進めるスピードも速い。彼らの活躍が、日本の開発現場への刺激にもつながっている。

 2019年4月に日本の開発体制を見直す組織改編を実施した。本社や技術研究所、熊本製作所に分散しバラバラに動いていた営業、開発、生産、調達などの部署の垣根を取り払い、管理職を中心に双方向の人事交流を大胆に進めてきた。互いの仕事を理解することで、売れるものを素早く開発できるようにする。タイでは組織変更はしていないが、半分対抗心を燃やして日本に先んじて異なる部署が一体となって開発に取り組んでくれた。

 日本の二輪市場は規模ではバングラデシュよりも小さいが、そこで何が売れているかをアジアの人たちが憧れを持って注視している。画期的な商品を投入していかなければブランド力の低下を招きかねない。ASEANもかつてのような右肩上がりの成長は期待しにくいため、開発や生産のコスト効率を引き上げる必要がある。スクーターを中心に基幹モデルのフレームやエンジンを共通化するといった施策も19年から進めている。そこで浮いたコストで新しい付加価値を生み出し、南西アジアやアフリカなど未開拓の市場に打って出たい。(談)

日経ビジネス2021年1月25日号 50~53ページより目次
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