物流システム世界最大手として、過去10年間で時価総額を20倍以上に増やした。システム構築事業者でもある強みを発揮し、EC(電子商取引)市場拡大の黒子役となっている。その強さの秘密は、半世紀以上前にトヨタと磨き続けたDNAにある。

医薬品卸の東邦ホールディングスが9月に全面稼働させた最新鋭の物流センターのシステムをダイフクが構築した

 9月、医薬品卸大手の東邦ホールディングスが、東京都大田区の最新鋭物流センター「TBCダイナベース」を全面稼働させた。延べ床面積は約5万m2で、約2万5000品目の医薬品や医療機器を保管する。設備投資額は146億円。人手不足を見据えて自動化を徹底しつつ、注文通りに商品を出荷できたかを示す精度で「セブンナイン」と呼ばれる99.99999%を目指す。

 発送先ごとに単品を取り出す作業を担うのはロボットだ。26台ものロボットが、自動倉庫から供給されてくる箱から商品を取り出していく。このセンターの物流システム全体を構築したのがダイフクだ。

世界中の工場・倉庫の守り神

 1937年、クレーンや鍛圧機械を手掛ける企業として創業したダイフクは、その後、工場や物流センターで使われるコンベヤーなど搬送機器に事業領域を拡大。ビジネスにおける物流部分の重要性が高まるのに伴い、飛躍的に成長してきた。

 2020年3月期の売上高は4436億円で、倉庫や工場で物を動かすシステム全般を指す「マテリアルハンドリング(マテハン)」市場でのシェアは、2位の独シェーファーを引き離し世界首位。もはや、巨大な棚から必要な商品を取り出す立体自動倉庫も、荷物を配送先別に仕分けするシステムも、半導体工場でシリコンウエハーを搬送するシステムも、ダイフクなしには、世界中で混乱が起きかねないのが実情だ。

 流通業や小売業でEC(電子商取引)サイトを設けて1個ずつ個人に届ける「個配」が広まると、一段と成長を加速させた。10年前に600億円前後だった時価総額は、20年には1兆5000億円を一時突破した。売上高は同じ期間に2.5倍近くまで増やし、営業利益も安定して確保している。21年3月期も、売上高や営業利益、純利益はいずれも前期を上回る見通しだ。

(出所:時価総額はQUICK・ファクトセット。週次ベース)

 「コロナ禍を契機に、省人化につながるハイエンドな物流機器の中期的な需要が拡大し、ダイフクのシェアはさらに高まる」。こう予測するのは、野村証券の野口昌泰アナリスト。「ユニクロ」のファーストリテイリングが世界の倉庫の自動化に向けて組んだのもダイフクだった。柳井正会長兼社長に「世界で一番信頼でき、最後まで一緒にできるところ」とまで言わしめた。

 マテハン機器は個々の製品が成熟し、差異化が難しいとされる市場だ。シェーファー以外にも米デマティックなど手ごわい競合が居並ぶ中、なぜダイフクはここまで強くなれたのか。

続きを読む 2/5 無理難題から逃げない集団

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り4719文字 / 全文6057文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ケーススタディー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。