INTERVIEW 
竹市克弘社長に聞く
何となく外食に行く時代は終わった


 収益性の高さを維持できていたことが、コロナ禍で生きました。今でこそ外食では高収益といわれる利益率10%の企業ですが、2003年ごろまでは5%未満でした。店舗、規模の拡大を目指していたからです。そのために安売り攻勢に走ってしまい、BSE(牛海綿状脳症)問題で生きるか死ぬかの瀬戸際まで追い詰められました。それ以降、独自性のある業態に強固な財務基盤を築いた後、お客さんに認められてから出店を進めていくという方針に変えました。

 成長を加速させようと、14年から18年の5年間で60店舗余りを出店しました。新卒採用を増やし、社員数は10年で3倍近くになりました。でも出店の対応に追われるあまり、経験不足な若手が増え、技術力や店舗の魅力が落ちてしまった。

 うちの店舗は店長の経験値がダイレクトに店の質となって現れます。若手はみんな本当によく頑張ってくれていますが、これは仕方の無いことです。ステーキの炭焼きをはじめ、うちの調理は煩雑で難度の高いものが多い。炭の火力を安定させるのは熟練の技です。カット野菜やガス火を使えばオペレーションが簡素化されますが、煩雑さの中にこそ独自性が生まれる。若い店長には十分な鍛錬の期間を用意できておらず、経営者として申し訳ない気持ちです。

 ワークスケジュールや人員配置も調理と一見関係なさそうですが、来店客数の予測が立てられれば焼き場の火力や面積も「どのくらいが適正か」を判断した上で準備ができます。商品を回転させながらそんなことを考えられるのがベテランですが、若手には難しい。今は郊外にあった研修センターを名古屋駅前の自社ビルに移したり、関東に研修施設を構え集合研修を行っています。

 うちの業態は「取扱注意」なスタイルだと思っています。ファミレスよりも高い値段設定、不便な立地、品数も少ない。「ブロンコビリーに行きたい」と強く思わせる武器が無いと客足は離れていく。従業員の負担も大きい。オペレーションが煩雑なのでFC(フランチャイズ)展開もしていません。規模の経済を追ってばかりでは未来を切り開くことはできないと思います。

 「なんとなく外食する」という時代は終わりました。これからは「家でも作れる」、「テークアウトで食べられる」というフィルターを乗り越えた先の「わざわざ店まで食べに行きたい」という消費者の欲求を喚起できる業態しか生き残れないでしょう。それをブロンコビリーの強みと掛け合わせた店作りをこれからは目指したいです。(談)

日経ビジネス2020年11月16日号 50~54ページより目次
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