株主提案とTOBは違う

 ここで大戸屋HDはミスをした。株主提案が否決されたため、「コロワイドによるTOBにも反対してくれる」(窪田社長)と期待してしまったのだ。

 株主提案の場合、賛成したからといって大戸屋HDの株主に経済的利益がすぐに転がり込んでくるわけではない。しかしTOBは別だ。コロワイドは1株当たり3081円というTOB価格を提示した。これはTOB発表直前の株価に対して46%ものプレミアム(上乗せ幅)を付けている。つまりTOBに応じれば、それだけの利益を得ることができる。大戸屋HDの経営陣に同情しても、懐勘定となると話は別、という株主が多くいることは想像に難くない。

 しかもTOBでは、株主提案と異なりコロワイドは半分以上の株主の賛成を得る必要はない。コロワイドはTOB開始時点で既に19%の株を保有していた。TOBが成立する下限の条件は当初45%(その後40%に引き下げ)だった。これだけの株を保有すれば、取締役を送り込んで実質支配力基準を使えば子会社化できるとのもくろみだ。

 つまり発行済み株式のうち26%が手に入ればよいことになる。過半数の賛成どころか、全体の約4分の1が応じてくれればコロワイドの勝ちとなる。大戸屋HDの経営陣はここを見誤った。株主提案を退けたことで「民意は我にあり」と思い込んだフシがある。

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