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この5年、デジタル化で既存事業の生産性向上と新事業創出を進めた。スタートアップ企業から新技術を導入する一方、社外の人材を積極的に登用し自社でもアプリ開発まで取り組む。損保の殻を破る改革は、社風や組織の体質も変え始めた。今後は収益刈り取りに入れるか。

自動運転支援のサポートセンターの実験も始まった(左)。IT技術者の多いスプリントチームは、保険会社とは思えない雰囲気だ(右)(写真=左:大下 美紀、右:加藤 康)
事故車の市場をつなぎ合わせるプラットフォームも稼働し始めた(上)。介護施設では自動運転車イス(下)や自動配膳車(右)も導入(写真=下:大下 美紀)

 「これからまだまだ事業を広げられるはずだ」

 9月1日、SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長・グループCEO(最高経営責任者)は思わず笑みを漏らした。この日スタートしたのは、これまでバラバラに複数存在していた事故車の事業者間市場をつなぐプラットフォーム。事故車の売買では従来、市場が分かれているため、同じ車種でも落札価格が異なることが珍しくなかった。これがつながることで適正価格になり、取引がしやすくなる。

 SOMPO傘下の損害保険ジャパンは、自動車保険契約者が事故を起こした場合、保険金を支払い、年間約5万台の事故車を引き取って市場などで売却し、収益としていた。

 市場での1台の車両に対する購入希望者(バイヤー)が増えれば、価格はせり上がる傾向があるため、プラットフォーム開設によって自動車保険の収益改善も見込める。複数のデータをつなぐ技術、APIを使って自社で開発。今年1月から実施した実証実験では、落札価格がこれまでに比べて1~2割上がることが確認できたという。

日経ビジネス2020年10月5日号 50~54ページより目次