全5653文字

サイロ型とも呼ばれる縦割り組織の弊害はなかなか解消できない。ほかの組織との交流が得意な人ばかりではなく、横の連携をしようとしてもどうしていいか分からなくなるのが常だ。紙需要の減退に直面している王子ホールディングスは、全社を輪にする「ハブ」のような本部機能に活路を見いだした。

王子HDは自社の連続段ボールシートを生かし、自動包装システムを開発した(写真=3点:加藤 康)

 物流大手SGホールディングス(HD)が今年1月、東京都江東区に開設した配送拠点「Xフロンティア」。9月初旬、その一角で異形の機械設備が動き続けていた。蛇腹状に折り畳んだ長尺の段ボールシートを引っ張り出し、1枚ずつ裁断して折り目を付ける。それを箱状に加工すると日用品や雑貨が次々に梱包されていった。

 工程はすべて自動で進み、ラインに人影はない。SGHDが中小のインターネット通販事業者向けに、商品の保管と運送を一括して請け負う3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業の基幹工程だ。

市場は既に2割縮小

 この包装ソリューションは王子ホールディングスが機械商社のアルテックと共同提案した。段ボールは通常、家庭の引っ越しの際に配られるような、組み立てて使ってもらう状態にして出荷する。しかしこのソリューションではイタリアCMC社製の機械設備の納入とそのメンテナンスをアルテックが、標準で700mに及ぶ段ボールシートの供給を王子HDが一貫して手掛ける。

 ネット通販の商品が入る段ボール箱は普通は決められたサイズなので、小さな商品が大げさな箱詰めになって配送されることも多い。このソリューションは3Dスキャンで商品の縦、横、高さの寸法を測る。段ボールシートを商品ごとにぴったりのサイズに切り出して箱状にし、梱包していく。段ボール紙を節約してコストを減らし、環境負荷を抑えながらビジネスを進めていると外部にアピールすることもできる。

 印刷・情報用紙や衛生用紙、段ボールなどを製造して出荷する製紙業界で国内首位の王子HD。2000年代まで国内市場は底堅く、業績は安定していた。当時はイノベーションに敏感とは言えず、新商品開発は紙の耐久性や厚さ、表面加工といった品質や機能を追求する方向に向かいがちだった。

 しかし、それでは立ち行かなくなってきた。国内の紙・板紙需要は08年のリーマン・ショック以前は3000万トン程度だったが、少子高齢化とIT化の進展で右肩下がりとなり、19年は2514万トンとピークの06年から2割減った。

紙需要の落ち込みがイノベーション強化の背中を押した
●紙・板紙の国内需要と、品種別消費量の推移(2006年を100とした指数)
注:日本製紙連合会、全国段ボール工業組合連合会などの統計から王子HD作成

 王子HDも17年度までの約5年で国内従業員の1割に当たる2000人の削減を柱とするリストラを実施。これまでと同じ顧客に良質な製品を供給するビジネスだけを続けていたのでは縮小均衡に陥ってしまう。

日経ビジネス2020年9月28日号 50~54ページより目次