26人のメンバーでスタート

 「何もしない第一三共でいいのだろうか」。欧米の製薬大手が相次ぎ抗体医薬の開発に乗り出していた2000年代半ばごろ。こう考えた研究者が第一三共にいた。後にADCの研究チームを率いることになった我妻利紀氏(現執行役員)。世界中の製薬企業や研究機関を訪問して研究内容を調べるうちに、自分たちでも勝負できる分野があることに気づいた。

 それがADC。「まだ競争相手が少ないし、社内で培ってきた合成化学の技術を生かせる」。こう判断した我妻氏は10年6月に研究所内に26人のメンバーからなるワーキンググループを発足させ、研究に着手した。

 抗体にくっつける薬物は、旧第一製薬が臨床試験まで進めたものが適していることが分かった。抗体については社内で製造技術の開発に取り組むチームもあった。研究開発本部に約1000人の研究者を擁する第一三共。様々な技術の種を持つ強みが生きる。

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