人と人の付き合いは重視

 社内アンケートでは金融事業を担うグループ会社などで業務に支障があったと答えた従業員が半数を超えた。金融事業は関連情報の多くを規則上、社外に持ち出せず、書類へのなつ印が必要となるケースも多い。現状で従業員は交代制での出社を余儀なくされている。コールセンターでも対面の研修ができず、人員を増やせない問題が浮上している。

 「家に仕事用デスクがないので床座で業務をこなしている」。システム本部海外事業推進室の松下英紀アシスタントマネージャーは言う。松下氏は係長に相当するネットワーク系エンジニア。GMOは自社サービスを内製するため松下氏のようなエンジニアやデザイナーなどが従業員の46%を占める。

 会社が用意したVPN(仮想専用線)は充実している。一方、技術系集団がぶつかった問題は家庭でのPCやモニター、机、椅子といった物理的なものが多かった。費用の持ち出しがあった社員も多く、家にいるので光熱費も増える。費用と会社の負担という問題もいずれ解決しなければならなくなる。

 GMOインターネットは10年代以降、生産性を上げながら社員に利益を還元するため食堂や託児所、マッサージルームや昼寝スペースといったオフィスの設備を充実させてきた。こうした特徴的な経営は社員から支持されてきたが在宅勤務で意味が薄れてしまう。熊谷氏は当面、「浮いたオフィス光熱費を従業員に分配する」としている。

<span class="fontBold">GMOインターネットグループ従業員の在宅勤務環境。大型モニターや自分好みのキーボードなどを用意し作業環境を整える従業員がいる(❶❷)。ノートPCを中心に簡素な環境で仕事をこなす従業員も(❸❹❺)。仕事用にPC周辺機器やデスク・椅子を買った人も多い</span>
GMOインターネットグループ従業員の在宅勤務環境。大型モニターや自分好みのキーボードなどを用意し作業環境を整える従業員がいる(❶❷)。ノートPCを中心に簡素な環境で仕事をこなす従業員も(❸❹❺)。仕事用にPC周辺機器やデスク・椅子を買った人も多い
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 在宅勤務の開始当初に目立ったのはこうした対面の回避、デバイス整備、費用、運動不足といった物理的な問題だ。3カ月が過ぎた今、対人関係や、集団に所属するがゆえに本来は得られていた満足度が下がっているのではないかという難しい問題も顕在化している。

 有価証券報告書によるとGMOインターネットの平均年齢は35.3歳。1人暮らしで寂しいという声も寄せられる。業務で使うチャットツール「Chatwork」には雑談用コーナーもあるが、文字だと冷たい印象を与えてしまうこともある。システム本部では「朝夕2回はZoomで顔を合わせ、金曜夜に出入り自由のZoom飲み会を開いている。10人から数十人が参加する」(松下氏)という。各部署ごとのこうした取り組みが増えている。

業務上のやり取りだけでなく、 雑談・飲み会も
●従業員のコミュニケーションの取り方の一部
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