横やりが入らないメリット

 2月中は会社指定マスクの着用などを条件に、4000人のうち1日に1000人程度の従業員が出社していた。感染拡大を受けて出社を許す条件を徐々に厳しくしている。3都市以外に対象地域も広げ、4月下旬の時点で出社人数は1日100〜200人程度に減っている。

 経営会議や幹部会議のほか、3月30日には株主総会もネット中継して約1000人が視聴した。会社法で設置が定められた会場に姿を見せたのは質問意欲の高い株主、18人だけだった。4月1日には約170人を迎えてグループ入社式をZoomで開いている。本来は1カ所に人が集まるはずの会社の運営のほぼすべてをネット上で代替し始めた。Zoomは安全性の問題も指摘されているが、「パスワードを設定するなど適切に運用している」(同社)としている。

 緊急事態宣言と前後して日本企業で始まった在宅勤務の取り組みで2カ月ほど先んじたGMO。数千人規模での在宅勤務が4月末までで3カ月にわたって続くという前例のない実験に、「うまくいくものなのか」という問い合わせが取引先や株主から相次いでいる。

 利点と課題はこの間の運用で既に見えてきた。最も良い点はやはり通勤がないことだと社員の多くが口をそろえる。3月初旬の社内アンケートでは「家族と過ごすことができる」「勉強する時間を取れる」との声が出た。

 仕事の生産性も高まっているもようで、「突発的な横やりが入りづらくなったため資料作成や考え事をするうえでは効率が良くなった」との声が聞かれる。職場の雑談も自分のタイミングでなければマイナスになることに多くの社員が気付いたようだ。朝起きてフレッシュな頭の状態ですぐに集中して仕事に取り組むメリットも大きいという。

 一方、課題も鮮明だ。アンケート調査では、回答者の3割弱が「在宅勤務での業務に支障があった」と答えている。

 IRを担当するグループコミュニケーション部の冨山直子アシスタントマネージャーは2月の19年度決算発表後、「対面を望む投資家も多く、対ウイルス用マスクをつけて訪問や来社対応をした」。株主総会に向けた準備でも法定書類の作成や読み合わせなどオフィスに集まらなければ進めづらい業務も多かった。「株主総会の直前まで週の半分は出社していた」という。

 こうした外部との接触は、平時に戻れば必要なものは再開すれば済む。ただ、ウイルス危機がいつまでも去らなかった場合にどう対処するかは整理し切れていない。

従業員の評価は高いが、業務上の課題も
●在宅勤務に関する従業員へのアンケート調査結果
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注:グループ従業員を対象に2月3〜4日に実施、回答数2800件
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