「何をやっても無駄だ」
最初の転機は13年6月。日本郵船の副社長を務めた後、同社子会社の日本貨物航空社長の経験もある石田忠正氏(現相談役)が会長に就任したことだ。

赤字に悩むJR貨物に「民間の意識を入れる」ことで立て直そうと国が依頼した人事だった。その前に立ちはだかったのが、同社に染みついていた「親方日の丸」体質。再建に必要な策を見つけるため、まず石田氏が社員を対象に実施したヒアリングで多かったのはこんな声だった。「何をやっても無駄だ」
諦念が支配する社内で手を着けたのは社員の自覚を促すことだった。自社の問題点を社員自らが認識し、改善策を見いだしていく意識改革を最初にしなければ、経営不振の根本的な解決にはならないからだ。
「まず幹部合宿をやろう」

就任から3カ月後。残暑厳しい9月上旬に、石田氏は部室長や支社長以上の幹部34人を神奈川県伊勢原市にある研修施設に集めた。合宿といっても、石田氏が改革案や精神論を延々と説法するわけではない。幹部を前に石田氏が指示したのは、JR貨物の抱える課題とその解決策を、2日間ぶっ通しで議論し合うことだった。その際、「約束事」と掲げたのは次の5つだ。
- ・自由闊達
- ・役職は無関係
- ・何を言ってもよい(個人批判はしない)
- ・全員参加
- ・時間厳守
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