減速する欧州市場で独り勝ち
こうしたWRCでの勢いは、トヨタの欧州での販売台数にも表れている。
欧州の自動車市場は景気減速などの影響で強い逆風が吹いている。欧州自動車工業会(ACEA)によると19年8月の販売台数は前年同月に比べ8.4%減少。昨年9月から減少基調が続く。
メーカーごとに見ても下落は顕著だ。19年上期、販売上位10社のうち9社が前年割れだ。日産自動車が24%減、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が9.5%減と落ち込み幅が大きい。そのなかでトヨタの19年上期の販売台数は前年同期比で0.3%増と、唯一販売台数を伸ばした。
もともと欧州はトヨタにとって難攻不落の市場だった。販売台数は世界販売の約10分の1で、19年3月期の欧州事業の営業利益1211億円は全体の5%ほど。工場を持つ英国の欧州連合(EU)離脱の行方によってはコストが跳ね上がるリスクもあり、「いつ欧州から撤退してもおかしくないという緊張感がある」(トヨタ関係者)。
その欧州で、トヨタはここ数年販売台数を地道に伸ばしてきた。18年の販売台数は103万5000台で8年間で28%増。けん引してきたのがヤリスだ。
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