セレクトショップ大手、ベイクルーズグループがゾゾタウンに依存せず、自前のネット通販を伸ばしている。4つの物流拠点を閉鎖して1カ所に集約し、商品在庫の管理も店舗とネット通販とで一本化した。狙うのは独自のオムニチャネルの浸透だ。ネット消費の拡大を見越して先行した優位を保てるだろうか。

千葉県のJR柏駅から車で20分、食品工場や運送会社の配送センターが連なる工業エリアの一角。セレクトショップ大手、ベイクルーズグループの倉庫、柏沼南センターでは、作業員がトラックから大量のジャケットをかけたハンガーラックを次々に降ろしていた。商品保管スペースにはファッション衣料に加え、靴やバッグ、アンティーク調のオーディオプレーヤーといった大きさもジャンルも異なる商品が並んでおり、物流倉庫というより、販売用ガレージにみえる。
4拠点を1カ所に集約
従業員は衣服を折り畳んで小さな箱に収めたり、大きな段ボールに詰め込んだりしていた。宅配用と店舗配送用とで作業が異なっているようだ。
「真のオムニチャネルを実現する。顧客が店舗を訪れようが、ネット通販にアクセスしようが、同じ買い物体験ができる環境にしたい」。高野英司執行役員は言う。かつてのネット通販はどうしても店舗の補完という域を出られず、人気商品の品切れが発生したり、ネットアップに手間がかかって販売開始が遅くなったりというケースが多かった。しかし、2016年7月に開設した柏市の一括物流センターをフル活用することにより、欠品を最小限にしながら、実店舗とネットで新商品を同時に発売する、ベイクルーズ流のオムニチャネルにこぎ着けたという。
柏沼南センターは床面積約3万m2。東京と埼玉、神奈川の4カ所に散在していた拠点を閉鎖し、新センターとして1カ所に集約した。以前は3カ所が店舗向け、1カ所がネット通販専用だった。新センターでは衣料や服飾雑貨、家具などを常時、約180万点から約240万点、同じ建物でまとめて保管できるようになった。検品、仕分けを経て、百貨店や自社の路面店、通販サイトの商品購入者に向けて出荷していく。

商品の一括保管に伴い、商品在庫のデータも店舗向けとネット通販向けを分けずに統合管理できるようになった。東京・渋谷の本社ではシステム上、商品の増減を一目で把握できる。ネットと実店舗、どちらかの在庫が不足することによる機会損失を回避したり、在庫過多による無駄をなくしたりすることも可能になる。
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