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株式上場を果たして2年半、新幹線の貢献もあり売上高は伸びている。豪華寝台列車「ななつ星in九州」などで話題を振りまく半面、在来線を含めた鉄道事業は厳しい環境が続く。成長を継続するため、首都圏をはじめ域外での不動産開発などを強化するが、“本業”とのバランスも課題になる。

①タイのホテル「アロフト バンコク スクンビット 11」②在来線③ホテル「ブラッサム新宿」④九州新幹線⑤オフィスビル「二番町センタービル」⑥ドラッグストア「ドラッグイレブン」⑦飲食店「うまや」⑧豪華寝台列車「ななつ星in九州」(写真=②:shutterstock、⑧:アフロ)

 首都圏随一のターミナル駅・新宿。鉄道や高速バスの利用者が行き交う南口から徒歩で数分、幹線道路から路地に入るとベージュの外壁に大きな窓がいくつも並ぶ地上16階建ての建物が目に入る。外壁の最上部には「JR九州ホテル Blossom」の文字。そう、ここは九州が地盤の鉄道会社・JR九州グループが運営しているのだ。

 館内には薩摩焼や肥前ビードロなど九州の名産品が並び、フロントには大きなスーツケースを手にした外国人の姿が目立つ。JR九州として首都圏で初めて2014年に営業を始めた同ホテルはインバウンド(訪日外国人)を中心に客室稼働率は9割を維持しており、19年8月には新橋駅(東京・港)近くでも新たなホテルの開業を予定している。

 JR九州は近年、首都圏や関西でホテルやマンション、オフィス、飲食店、ドラッグストアなどの開発を続々と進めている。その名の通り九州の鉄道会社が域外で攻勢を強めているのだ。

 「今、JRの中で一番元気があるのは九州かもしれない。(豪華寝台列車の)『ななつ星(in九州)』とか観光列車も人気だけど、鉄道以外もいろいろやって面白いよね」。ほかのJRグループの社員はそう話す。13年に投入したななつ星などはなお高い人気を誇り、企業イメージの向上にもつながった。16年に株式上場を果たし、業績もまずまずだ。5月13日に発表した19年3月期の連結決算では売上高が過去最高となり前の期比6.5%増の4403億円、営業利益はほぼ横ばいの638億円だった。

多角化で増収続くも災害相次ぐ
●JR九州の売上高と純損益

売上高の6割が非運輸事業

 けん引役は駅ビル・不動産分野をはじめとする非運輸事業だ。鉄道など運輸事業が近年の災害の影響もあり減益となる中、全社の売上高に占める非運輸の比率は今や6割を占める。上場しているほかのJRグループ3社(東日本32 %、東海23 %、西日本38%)とは大きく異なる収益構造となっている。

JR九州は運輸サービスの売上比率が低い
●JR旅客6社の売上高の内訳
日経ビジネス2019年6月10日号 118~122ページより目次