得意技術を生かせば後発でも勝てる
●社内技術を異業種に展開する主な事例
得意技術を生かせば後発でも勝てる<br /><small>●社内技術を異業種に展開する主な事例</small>
[画像のクリックで拡大表示]

 1949年にトヨタ自動車の電装・ラジエーター部門が独立して創業したデンソー。カーエアコンや駆動制御部品、エンジン制御コンピューターなど幅広い自動車部品を手掛け、売上高は5兆円規模。日本では最大手で、世界の自動車部品業界の中でも独ボッシュと肩を並べる存在だ。

 今でこそ、完成車メーカーを支える部品の巨人だが、実はデンソーには、EV(電気自動車)やドラム式洗濯機を手掛けるなど、新分野に果敢に挑んできた歴史がある。創業間もないころは自動車市場がまだ規模も小さく、販売の好不調の波があった時代。異業種に進出しなければ、生き残れないという危機感が強かった。

地道な活動で売り上げを伸ばす
●全体と新規事業の売上高推移
地道な活動で売り上げを伸ばす<br /><small>●全体と新規事業の売上高推移</small>
注:2018年3月期の急激な伸びは携帯電話子会社TDモバイルを連結子会社化したため

 かつてのデンソーに立ち返るかのように、デンソーは今、新規事業の開拓に力を入れる。きっかけは2008年秋のリーマン・ショックだ。09年3月期に過去最大の373億円の営業赤字を計上し、「クルマのみの一本足打法には限界がある」(伊藤正彦専務役員)ことを悟った。それまでも車載以外の事業は手掛けていたが、11年に新事業推進室(今年1月から社会ソリューション事業推進部)を新設、「次のクルマ事業」を育てる取り組みを本格化させた。

 もちろん、闇雲に手を広げるわけではない。これまで自動車分野で培ってきた技術を生かすことにこだわる。有馬浩二社長が特に注力領域として位置付けるのが農業とFA(ファクトリーオートメーション)だ。それぞれの事業が大きな産業に育っていくのはこれからだが、地道な「種まき」は実を結びつつある。18年3月期の新事業案件の売上高は合計で1500億円を超えるまでになった。

次ページ 異業種を知り、新事業を作る