業績回復にめどをつけた日立製作所が、人材育成を急ピッチで進めている。IoT事業を強化するには、顧客の課題を理解して解決策を提示できる人材が不可欠だ。3年間で「4万人」を育てた研修現場に潜入し、社員の働き方に密着した。

IoTを駆使した日立製作所の大みか事業所(茨城県日立市)。IoT導入のショーケースとしての役割を担う(写真左=つのだよしお/アフロ)
IoTを駆使した日立製作所の大みか事業所(茨城県日立市)。IoT導入のショーケースとしての役割を担う(写真左=つのだよしお/アフロ)

 日立製作所でITシステムの営業を担当する川見太郎主任(38歳)は、この2~3年で日常業務がガラリと変わった。管理職に昇格したわけでも、部署を異動したわけでもない。以前と変わらず製鉄大手に対して、事業活動のデータ全般をまとめて管理する基幹システムの導入を支援している。

 一変したのは営業スタイルだ。かつては本社にいる情報システム担当者に営業を繰り返していた。だが今の訪問先は本社に限らない。各地にある製鉄所の工場長や工程管理システムの担当者に加えて、現場を支える技術者にも話を聞きに行く。「1週間で3日ほどは工場を訪れている」(川見主任)という。

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