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卸売業者を使わないことでコストを削減して市場での競争力を高めてきた日用品大手の花王。大手小売りチェーンが小口配送を求め、人手不足も加わって、いつの間にか苦境に立たされていた。物流の王者が懸命に取り組むカイゼン活動の最前線を追った。

少量注文の集荷エリアに、商品を取りやすい縦3段ラックを導入した(写真=陶山 勉)

 「体感でも明らかに効率が上がって、楽になりました」。1月中旬、花王の八王子ロジスティクスセンター(東京都八王子市)。緑色の箱を4個積んだカートを押していた女性作業員がそう話してくれた。洗剤やシャンプーなど数個だけの小口注文の商品を集めて回る。ダンボールや輸送用パレットの単位で数十個以上を受け付ける注文に比べ、小口発注への対応は手間がかかり、長時間残業の原因になっていた。データを活用して荷物の置き位置や集め方を見直したところ、歩行距離などの作業効率が約20%改善したという。

 1970年代から自社物流に取り組み、サプライチェーンの中で卸売業者が得ていた中間マージンを取り込んだ花王。圧倒的な販売量をベースにして国内26カ所に物流センターを持つなど同業他社にまねができない仕組みを整えた。その分のコスト削減により価格を引き下げたり、品質を引き上げたりする原資に充ててきた。