(写真=山本 尚侍)
(写真=山本 尚侍)

 1975年に村田製作所に入社以来、経理・財務畑を歩んできました。入社当初は事業規模も小さく、若手のころから経営会議に参加できました。創業者、村田昭さんの考えを直接肌で感じることができたのは、企業経営に携わっていくうえで大きな財産となりました。

 創業者から学んだ一つが、「長期視点での先読み経営」の重要性です。自動車電話が普及し始めた80年代に「これからはモバイルの時代になる」と言われ、電子機器市場の拡大を見越して北陸、山陰で多くの工場に先行投資し、業績を拡大しました。巨額の投資を意思決定する時には、創業者ならどうされるかと自問しましたね。

 実際に経営者として注力したことの一つが、経営理念の浸透です。村田製作所は2000年代に業績が停滞する時期がありました。直前のIT(情報技術)バブルで急速に成長を遂げた反動が出たのでしょう。売上高や利益という指標は大切ですが、我々の存在意義はどこにあるのかを再考しました。その結果、創業者が定めた経営理念に立ち返り、さらに「CS(顧客への価値提供)」と「ES(従業員のやりがいと成長)」を経営の最上位の価値観に設定したのです。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り758文字 / 全文1248文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「有訓無訓」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。