従業員の健康に投資してリターンを得よう コロナ対策のため管理職の技術高めよ

(写真=清水 盟貴)
(写真=清水 盟貴)

 日本の企業は、1人当たり2万円、3万円といった費用をかけて従業員に定期健康診断を受けさせています。もちろん事業者の法定義務ではあるのですが、見方を変えればこれは従業員に対する投資です。コストをかけるならリターンを得るべきで、従業員とのウィンウィンの関係を築けます。

 働く人の健康に配慮する「健康経営」の狙いは、企業利益を創出することです。経営者が健康保険組合などと協働して従業員の健康づくり事業に取り組み、創造性や生産性を高めるところに目的があります。私が理事長を務める健康経営研究会には今、100以上の法人が会員として参加し、情報交換などの活動をしています。

 私は医師になって初めて就いた仕事が産業医でした。そして大学病院で患者さんを診るのと、産業医として従業員の健康を管理することの違いに気がつきました。病院ではその時々の患者さんを診ているのに対し、産業医は10年、20年と同じ従業員の生活や仕事ぶりに接し、その結果としてどのように健康が維持されたか、逆に体調を崩したかといった因果関係を見ることになります。これは医師として興味深い研究対象にもなりました。

 2004年ごろから健康保険組合の理事や中小企業の社長、産業医などの有志で集まって情報交換を始めたのがきっかけで、06年に健康経営研究会を立ち上げました。実は「健康経営」という言葉は、この研究会の登録商標です。ただ、当初はほとんど経営者に関心を示してもらえませんでした。