政策の壁となる「社会的認識のタイムラグ」 経済学論理の無視が大きなコストにつながる

(写真=都築 雅人)
(写真=都築 雅人)

 旧経済企画庁に入庁した1969年以降、エコノミストとして50年余り日本経済を観察・分析してきました。

 この仕事の醍醐味は「通説」や政策効果を疑い、経済学的論理やデータに基づき異なる事実を見付け、新聞のコラムなどで発信することです。

 最近では、昨年実施された全国民への10万円給付に関するデータが衝撃的でした。昨年4~6月期の家計可処分所得・家計貯蓄率の速報値というあまり注目されない調査を見たところ、勤労者の賃金がかなり減る一方、一律給付で家計の可処分所得は大幅に増加。さらに家計の消費支出が大幅に減った結果、家計の貯蓄は約57兆円(年率)も増え、貯蓄率は21.9%もの高水準でした。要は、コロナショックで日本経済全体が打撃を受けた時、マクロ的には10万円給付は家計の貯蓄を増やしただけで、意味のある政策ではなかったということになります。

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