分け隔てない社会をつくれるか 過去を検証し、未来につながる今をよりよく

 「適」か「否」か──。1970年から勤務した都立の養護学校では毎年度末、新たに受け入れる子どもを選考する職員会議が開かれました。入学希望者は常に定員を上回っていました。一人ひとり障害の状況を調べ、面接もしたうえで教職員が話し合うのですが、なかなか結論は出ません。最後は教頭が子どもの名前を読み上げ、全員が「適」か「否」に挙手をする多数決でした。

 障害の重い子どもが義務教育から排除される。そのことに納得がいかなかった私は「教育を受ける権利は憲法で保障されているはずです」と必死に訴えました。70人の教職員の中で最初は小さい声だったと思います。しかし毎年訴えるうち、徐々に賛同者が増え、ついに74年度から、東京都は全員就学としたのです。この方針は79年度には全国に広がりました。

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