「大きい数値」がもてはやされる時代 磨くべきは「小さいものを見る力」

(写真=栗原 克己)
(写真=栗原 克己)

 私は編集工学という立場から、情報が経済や社会にもたらす影響を考えてきました。地球における情報は生命の誕生とともに表れ、ゲノム情報や植物、動物の形をとりながら、進化と変異の陰の主役を演じてきました。

 その一つにウイルス情報があります。コロナ禍においては米ジョンズホプキンス大学が世界のウイルス情報の感染状況についての情報地図を提供しています。この地図は歴史学者アーサー・ラブジョイの「観念の歴史」クラブで生まれた考え方に基づいているもので、空間(地域)と時間を自分で設定して世界の感染情報を確認できます。これはまさに編集工学のアプローチです。

 世界にあふれる情報をいかに編集し活用するか考え続けてきた立場からすると、今の日本には気になることがあります。「小さいものを見る力」が失われてきていることです。

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