外交官生活36年で見えた交渉の要諦 自ら確信できるシナリオなくして成功なし

(写真=村田 和聡)
(写真=村田 和聡)

 36年間、外交官として数々の交渉をしてきました。日米経済摩擦の最も厳しい1980年代には、担当の課長として米国との間で半導体や電気通信など、26もの協定づくりに関わりました。90年代は米国との安全保障の交渉です。日米安保共同宣言をまとめたほか、防衛協力のガイドラインにも携わりました。2000年代に入ると北朝鮮との交渉、ミャンマーの民主化やイランの核問題、ロシアとの領土返還交渉なども手掛けました。

 一般の外交官より数多く交渉を経験してきたと思います。そこから得たのは、交渉に臨むには大きく2つ大切な点があるということです。

 1つ目は、着地に向けたシナリオを最初から描いておくこと。単に自己主張するだけでは決して交渉はまとまりません。ウイン・ウインというか、自分たちにとってはもちろん、相手にとってもプラスの結果になったと感じてもらえるシナリオが必要です。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り929文字 / 全文1353文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「有訓無訓」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。