技術者はマインドを変えよ 無駄なプライドを捨て、知の融合へ動け

(写真=山本 尚侍)
(写真=山本 尚侍)

 脱炭素の社会づくりや新型コロナウイルス対策など、私たちは今、大きな課題を幾つも抱えています。企業が果たせる役割は大きいでしょう。エンジニアが力を発揮し、イノベーションを生むことが期待されています。

 2002年、私はたんぱく質など高分子を調べる質量分析技術でノーベル化学賞を受賞しました。ですが、企業で働く者として「研究開発は最先端でなければならない」と思い込まないようにしてきました。

 1983年に入社後、先輩から島津のダメなところとしてこんな話を聞かされました。気体中に含まれる成分の種類や量を調べるガスクロマトグラフ装置で、島津は国内シェアの半分以上を占めていた。海外の競合が一点突破で違いを出そうと、分析速度が2倍の製品を出した。そのとき島津の技術者はなんと言ったか。「そんなこと自分たちでもできる」

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