引退撤回し3たび現場へ 酒造りはまだ「分からん」、探究心は永遠に尽きない

 3度目の引退を撤回し石川県小松市で酒造りの現場に戻ってから、4年目の冬です。米寿を迎え、家族からは老後をのんびり過ごせばと言われますが、そうもいきません。16歳で現場に入ってから70年以上たった今でも、酒造りは「分からん」ことだらけだからです。

 酒造りでまず向き合わなければいけないのが、原料になる酒米です。これが厄介な相手で、まったく同じ産地、品目であっても使ってみると水の吸いやすさ、麹(こうじ)のできやすさなどが毎年違います。実際に削って、水に漬けてみなければ分かりません。異常気象などの気候変動や、コメの作り手の高齢化により機械化が進んでいることも影響しているのでしょう。

 これまで毎日欠かすことなくノートに気付いたことを書き留めてきましたが、酒造りに正解はありません。一日一日、そして毎年が新たなチャレンジです。自分の中で探究心が永遠に尽きることがないのは、お客さんに「うまい」と言ってもらうことが最大の喜びだからです。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り843文字 / 全文1303文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

世界の頭脳に学ぶウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「有訓無訓」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。