イノベーションは研究と生産技術の境界領域から生まれる

(写真=日本経済新聞社提供)

 技術者として富士フイルムに入社して、新人研修に参加したときのことです。製造部門の係長が講師として出てきて、「富士フイルムが作っているものが何か分かるか」と言って、黒板に大きく、「信頼」と書いたんです。それを見て感銘を受けて、役員との面談で自ら製造部門を志願しました。

 製造は、研究所が作った設計図を基に商品を作るのが仕事です。ですが、設計図のまま作っても商品にはなりません。設計図に書かれているのは、いわばチャンピオンデータです。例えば、150kmの速球を投げるピッチャーを育てたと研究所が言ってきたとします。エアコンの利いたドーム球場で150kmを投げられるだけでなく、炎天下でも雨が降っても150kmで投げるピッチャーに仕上げなければ商品にはなりません。製造部門に配属されてしばらくして、研究所が作った設計図を尊重しつつ、商品にまで仕上げるのが生産技術者としての自分の義務だと気が付きました。

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