「文系」「理系」の選択は疑問 医療・技術情報を読み解く科学リテラシーの向上を

(写真=村田 和聡)
(写真=村田 和聡)

 日本はもっと科学リテラシーを引き上げていく必要がある。長年、認知心理学や情報コミュニケーションを研究する中で感じてきた思いが、新型コロナウイルスによる感染症のまん延という状況の中で、さらに強くなっています。

 新型コロナの感染状況や対策について、メディアが報道する際、医療の専門家たちが様々な意見を述べると、しばしば「一体、誰が正しいのか。誰を信じればいいのか分からない」と一つの正解を求める声が上がります。専門家は個々の分野を研究しているので意見が異なるのは当然です。さらに科学はすべてを解明しているわけではありません。医療現場からの報告や専門家の分析など現時点で分かっている科学的情報を踏まえ、総合的見地から判断し対策を打つしかないのです。

 判断を下すのはリーダーですから、リーダーには当然、一定の科学リテラシーが求められます。一方、政策を評価する国民の側にもそうした能力が必要ですが、果たして、十分でしょうか。科学的であるか否かを判断する基準は、簡単に言えば、実験や調査研究などで導き出された根拠、すなわちエビデンスを積み上げて再現性を示しているかどうかです。残念ながら日本では、そのことさえ浸透していません。

 大学で若者と接していると、科学リテラシーが育たない背景には、高校時代に早々と「理系」と「文系」を分ける教育制度に原因があるように感じます。文系を選んだ生徒が、受験に関係ない数学や理科系の知識は自分には不要と考え、科学的な情報に触れる機会を失ってしまうようです。