問題の本質理解が最重要 センスが理論を選ぶ 哲学と実務を大切にする

(写真=日本経済新聞社提供)
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 日本銀行に39年間勤め、バブルの拡大と崩壊、不良債権問題、グローバル金融危機など、多くを経験しました。日銀の役割は医師に似ていると感じます。医師が守るのは人の健康。日銀が守るのは経済の健康です。病気を予防し、病気になったら治療や手術をする。何よりも信頼関係が大前提となること、対象を十分には解明できていないことも似ています。

 経済の医師の役割を果たすためには、現実をよく観察し、問題の本質を正しく認識することが何より大切です。この信念の原体験は1980年代後半のバブルです。人々は今となっては信じられないほど強気になり、借り入れを著しく膨らませました。典型は不動産やノンバンクで、借り入れを大幅に増やしました。バブルを加速させた大きな一因は長期にわたる金融緩和でした。

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