時代を変えるのは若者 未来を担う次世代に エールを送りたい

(写真=安部 まゆみ)
(写真=安部 まゆみ)

 「メキシコで子供たちに大人気のキッザニアを、日本で運営しないか?」

 米国の友人から持ち掛けられたのは2004年、前職を60歳でリタイアした翌年のことでした。子供たちがさまざまな職業を体験しながら生きる力を育てる、教育と娯楽の要素を備えたエデュテインメント施設だ、と説明されてもイメージが湧きません。興味を持った私は「じゃあ、来月、行くよ」と答え、7歳と4歳の孫を連れてメキシコに飛びました。

 孫たちは言葉の壁を越えて、色々な仕事に挑戦しました。「楽しかった?」と聞くと、「真剣になれるから面白い」と言うのです。楽しみながら学べるこの施設を日本に展開する意味は大きいと確信しました。

 私は25歳で会社を辞め、今で言うスタートアップの役員となりました。「トニーローマ」「ハードロックカフェ」といった海外の人気レストランを日本に導入するなど、35年にわたって外食ビジネスを手掛けてきましたが、その間、一貫して感じてきたのが「人手不足」です。若者を採用して育成しても、3年程度で辞めてしまう。ニートが社会問題にもなり、学校で育てる人材と、社会が求める人材が合っていないのでは、と疑問を感じていました。

 私が考える、働くうえで必要な能力は、課題に対して自分の頭で徹底的に考え、解決していく力です。一人で課題を解決できなければ、周囲とチームを築いて、事に当たる必要がある。そこで議論し、プレゼンテーションする、コミュニケーション力も重要です。これは生きる力にもつながります。

 こうした力は、座学より自然やスポーツ活動、家庭でのさまざまな「体験」の中で育まれます。同様に、職業体験ができる施設も大いに意義がある、まさに社会に貢献する事業だと思ったのです。多くのスポンサー企業の協力を得てキッザニア東京を開業できたのは2006年。3年後には兵庫県の甲子園にも開設し、2施設ともに高稼働を続けています。