歴史を学び、歴史に学ぶ 光の当て方を変え、敗者の真の姿を捉える

(写真=澤木 儀明)

 「歴史を学び、歴史に学ぶ」。色紙を乞われた時には、いつもこう書いています。場当たり的な対応にとどまることなく、先見の明をもって事に当たるために必要な姿勢だからです。「歴史は鑑」とよく言いますよね。人々が「歴史を学び、歴史に学ぶ」ことができるよう、成功例や失敗例を紹介し、世の中に警鐘を鳴らすことが、歴史家としての使命と考えてきました。

 成功例や失敗例を正しく伝えるためには、その実像を明らかにしなければなりません。例えば敗者にはマイナスの印象が付きまといます。しかし、それはその人物の実像でしょうか。勝者が自らの正統性を訴えるため、敗者を「悪者」に仕立て上げた部分を取り除いて評価する必要があります。

 例えば、織田信長に桶狭間で討たれた今川義元。公家趣味の軟弱大名と見られがちです。しかし、実際には武田信玄や上杉謙信と伍す力のある有力大名でした。義元は、武田と上杉が戦った川中島の戦いの第2次合戦で、両者を仲裁し停戦を実現しています。仲裁は力のある大名でなければできない仕事です。格下では務まりません。

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