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チーム力は日本の強み「分業バカ」から脱し、経営層こそ結束せよ

(写真=竹井 俊晴)

 泡が工場の建屋にあふれ返っていました。味の素に入社して3年ほどたったころの話です。私はアミノ酸の発酵液の濃縮について研究をしていました。研究室内での小規模な実験では、泡はフラスコの中の液体にポツポツと浮いている程度。問題ないと思い、工場内の設備でも試してみることになりました。

 ところが、フラスコでの実験とは違い、ビールをグラスに注いだ時のような泡が次々に出てきます。消泡剤を入れても止まる様子はありません。結局、泡は工場建屋の2階部分に達するほどになりました。

 大変な失敗ですが、上司も先輩も怒りませんでした。工場の人たちも私を責めることはせず、建屋にあふれた泡を掃除してくれました。

 単に周りの上司や先輩方が優しかったという話をしたいわけではありません。今だったら、こんな失敗は許されないでしょう。というよりも、こんな派手な失敗につながる実験をやらせてくれないはずです。