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一瞬の判断で役員を辞任 集まった仲間と共に起業 結んだ人の縁を大切にする

 街がクリスマスの色に染まると、今も思い出します。1991年の12月24日のことでした。高校卒業後、28年勤めた大阪の医療材料商社の役員会で突然、私が批判の矢面に立たされたのです。「接待費を無断で使った」「稟議をせず、他社への延べ払いを決めた」と言われました。私は取締役営業本部長でしたが、まるで覚えがありません。

 経営陣から煙たがられていることは薄々感じていました。主力事業はアナログのレントゲン用フィルムで、いずれデジタルの波が押し寄せると分かっていた。事業転換をしないと大変なことになります。ズバズバとものを言うのは私だけ。先輩役員はみんな年齢が一回り上でしたから、この若造が、と思われたかもしれません。

 一瞬の判断でその場を立ち去りました。「新人として入社以来、長きにわたり誠にありがとうございました」と。その後のことは何も考えていません。まして起業することになるとは思いもしませんでした。