嚥下障害などの人たちが普通に近い見た目の食べ物を楽しめる、新たな調理家電を開発。「介護現場の食の課題を解決したい」と強い思いを持ち続けた有志たちが事業化を実現した。


「家族と同じものを食べさせてあげたい」──。口の中のものをうまく飲み込めない、嚥下(えんげ)障害などで悩む人にこんな形で寄り添うのが、家電スタートアップのギフモ(京都市)だ。
いつもの手料理や市販の総菜、冷凍食品などを入れるだけで、料理を見た目や味を変えずやわらかくできる調理家電「DeliSofter(デリソフター)」を開発した。72刃の刃通しをする「デリカッター」で食材の繊維を分断し、一般的な電気圧力鍋よりも高い圧力で蒸気加熱をかけることで、短時間で食材をやわらかくする。

食べることに問題を抱えている場合、家族が食材をペースト状など流動食に加工して食べてもらうことが多い。しかし、デリソフターの調理なら食材を目でも楽しめ、家族の負担も減る。例えば肉料理なら30分程度で歯茎でつぶせるやわらかさになる。
既に累計500台以上を販売した同製品は、介護現場の食の概念を大きく変える可能性を秘める。「食べたいものを食べられることは人間の尊厳につながる」。森實将社長はこう話す。
実はギフモは、パナソニックの新事業創出活動を源流に生まれた会社だ。大企業で実現できなかったアイデアを、強い思いを持つメンバーたちが集まって事業化にこぎ着けた。
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