精鋭エンジニアらの開発力を生かし、米で植物工場を立ち上げ、高級イチゴを栽培。EV(電気自動車)で自動車業界の勢力を塗り替えたテスラに学び、次代の農の覇者を目指す。

ハチが飛ぶ工場
<span class="fontSizeL">ハチが飛ぶ工場</span>
1パック50ドルの高級イチゴは、ニューヨークのミシュラン星付きレストランでも使われる。「世界最大の農業生産者」が目標だ。

 米ニューヨーク市マンハッタンからクルマで西へ約20分。ニュージャージー州東部の倉庫街に、日本人が経営する植物工場のスタートアップ、Oishii Farm(オイシイ・ファーム)はある。

 倉庫内に入ると、学校の教室ほどの大きさに仕切られた箱のような建物が現れる。その箱に設けられた小窓から中をのぞくと、高さ約2mの棚が細い通路を挟んで列を成し、棚の上にイチゴの苗がびっしりと並べられていた。

 「中には2年前から毎日、イチゴを実らせ続ける苗もある」と話すのは、同社の共同創業者兼CEO(最高経営責任者)の古賀大貴氏だ。工場内は「常に春」(古賀氏)。温度や湿度、光の種類や風の量、音に至るまで、イチゴの生育に適した環境を維持する。

 時折、通路を画像センサーを備えたAGV(無人搬送車)が通る。米グーグルが自動車でストリートビューを撮影するのと同じ要領で、周囲の画像を取り込み、棚に貼り付けた苗ごとのコードを読み取って育成状況を記録する。センサーで記録するデータの数は「数百万」(古賀氏)。別部屋では、米マサチューセッツ工科大学(MIT)など著名大学出身の精鋭エンジニア十数人が、ファナック製産業用ロボットなどを使った収穫ロボットを開発中だ。

日本の植物工場ブームが原点

 イチゴの味もお墨付きだ。種は日本のブランド品。日本の農家出身者を会社に迎え、栽培研究も進める。試作品の糖度は米国産の約2倍の11~15度前後。レストランに提供したところ、「甘くておいしい」と評判を呼び、高級店や人気ベーカリーから注文も。50ドル(約5300円)の8個入りパックをオンライン販売すると、連日完売した。

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