「会社の理念やビジョンはあるのか」。学生時代から商売を手掛け、稼ぐ感覚を磨いてきた創業者はこの問いにショックを受け、「100年先も続くメーカーになる」と目標を改めた。その第一歩として開発した、1台2役の電動バイクは3年で累計5000台を販売。「ラストワンマイル」を担う、コロナ下の新たな移動手段として期待をかける。

「ウィーン」──。アクセルを開けるとエンジン音ではなく、モーター音と共に車輪が回り出す。ものの数秒で時速30kmまで加速する。14インチという小さな車輪と折り畳み自転車のような外観からは想像がつかないほどパワフルだ。ハンドルについたボタンを押せば、今度は電動アシスト自転車に早変わり。軽くペダルをこぐだけで、ぐんぐん前に進む。
「バイク」と「自転車」、1台で2役をこなすが、車重は約20kg(試作機)で折り畳みが可能。片手での持ち運びも難しくなく、車のトランクに載せてレジャーツールとして楽しむこともできる。そんな多機能さを持つ電動バイクがグラフィットの「GFR-02」だ。
高校時代から稼いできた
同社がこうした電動バイクを販売したのは2017年。初代モデルの「GFR-01」は20年までの3年弱で5000台を売り上げた。「電動バイクでこの数字は大手を含めても驚異的だと自負している」と鳴海禎造社長は胸を張る。
●グラフィットの売上高推移

コロナ禍で「密」を避ける移動手段として、バイクは注目を集めている。2代目となる「GFR-02」は21年2月初旬に500台の予約枠を設定したが、1週間足らずで完売した。「増産の計画などは未定」(鳴海社長)とうれしい悲鳴を上げている。
「両親は教育にはお金をかけてくれたが、とにかく家電や娯楽のない家だった」(鳴海社長)と振り返る少年時代。テレビやオーディオは、粗大ごみを拾って修理して楽しんだ。
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