孤独死や自殺が増え、毎年数万件ずつ増えていく日本の事故物件。眠る不動産を再生させるため、健全な取引が行われる専用の市場作りを目指す。


2020年秋、東京・西新宿エリアの1DKのマンションで40代男性が孤独死しているのが見つかった。死後約半年が経過していた。部屋はゴミ屋敷と化し、精神を病んでいたようだ。布団に倒れ込むように亡くなっていた。異臭がすると隣人が管理人に連絡したことが発見につながった。
21年1月末。そんな事故物件がおしゃれに生まれ変わった。白い壁に木目のフローリング、キッチンはベージュのタイルが貼られ、若者が好みそうなシンプルでスタイリッシュな印象だ。角部屋で二方の窓から光が入り、部屋を明るく照らす。見たところ、数カ月前にここで人が亡くなったとは想像がつかない。最寄り駅から徒歩3分と利便性も高い。多くの人に住みたいと思わせるマンションに生まれ変わった。
このマンションをリノベーションしたのが、事故物件の売買を手掛けるマークス(横浜市)だ。19年から、「成仏不動産」というブランド名で事故物件をメインに扱い始めた。リノベーションして再生させた事故物件を売買する事業を展開。事故物件専用の不動産サイトも立ち上げている。
毎年数万件の事故物件
事故物件は業界でタブー視され、売却する際、購入者に事故の情報を隠していることは少なくない。売る側からすれば、開示すると価格の低下にもつながるからだ。だが、取引時に情報を告知せず、のちに問題になるケースもある。また、事故物件について、業界内に明確な基準や定義はなく、現状は個々の不動産会社に対応が任されている。消費者視点からも情報を開示し、「事故物件の流通を活発化させるのが狙い」と花原浩二社長はいう。
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