クリエーターの手作り作品を購入者に直接届ける場を年々拡大し、2020年には上場を果たした。オンラインサービスの苦境を救ったのは、リアルな展示販売の地道な積み重ねだった。

20万人が出品登録
20万人が出品する国内最大のサービスに成長。クラウドファンディングやワークショップなどクリエーター支援も展開する(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)

 キルティング仕立ての二つ折り財布、スマートフォンを置いて音楽を再生するウッドスピーカー、真珠を使ったピアス──。

 値段も種類もさまざまな商品の写真がウェブサイト上にずらっと並ぶ。クリックして決済の手続きをするだけで手軽に商品を購入できるのは、一般的な通販サイトと同じだ。違いは、商品がいずれもクリエーターの手作りで、大量生産されたものはないということ。この「Creema(クリーマ)」のサイトでは、プロやセミプロのクリエーター約20万人が日々、丹精込めた作品を出品している。

 登録作品数は1000万点を超え、一般的な通販サイトにはない掘り出し物を求めて20~40代の女性を中心に毎月2000万人以上が来訪する。月間の流通総額は13億3000万円にも上る。

 「最大多数をハッピーにする」をモットーにするクリーマの丸林耕太郎社長が現在のサービスを始めたのは2010年のこと。広告代理店を退職後、旧知の仲間と2人で起業し、多世代が集まるシェアハウス事業を立ち上げたが、思うように進まず撤退を余儀なくされた。次のビジネスを模索していたときに思い浮かんだのが、高校、大学時代と音楽活動を長く続けた丸林社長が知り合ってきた友人たちの姿だった。

クリエーターが直接、購入者個人に売り込む

 音楽にとどまらず芸術分野の人脈を広く持っていたが、自分のスキルだけで生計を立てている人は一握り。大半は好きなことだけでは生きていけず、別の職業を探す人も多かった。

 「彼らの中には、認められるべき才能がある人たちが多くいた。ただ、芸術や工芸の世界はフワッとしていて、才能を測る尺度がない。自分自身で売り込むことができるフィールドを増やすことが必要なんじゃないかと考えていた」と丸林社長。そこで思いついたのが、クリエーターが自身の作品を商品として直接世の中に届けることができるクリーマのサービスだった。

 だが、言うまでもなく、ことは簡単には進まなかった。まず、売り出す商品が必要だが、出品してくれるクリエーターがなかなか見つからない。当時はYahoo!オークション(現・ヤフオク!)などがあったものの、個人間で手作り商品を売買する仕組みはまだ一般的ではなく、クリエーターの理解を得るのが一苦労だった。

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