患者の検体をデータ化し、病理医の診断をAIが手助けするソフトを開発する。病理医不足が深刻な中、迅速かつ正確な判断を可能にして世界の医療への貢献を目指す。
福岡市最大の繁華街、天神から徒歩10分弱のマンションの一室で、各地の大学病院などから送られてきたプレパラート(ガラス標本)をデジタルデータとして読み込む作業が日々続けられている。プレパラートは患者から採取した細胞など、病理検体を固定したもの。本来は病理医と呼ばれる専門医が顕微鏡で観察し、がんなどの病気になっているかどうかを診断する。

メドメインはこの病理診断をAIで支援するスタートアップ。この部屋では1台1000万円以上もする高額な機械が、8時間でおよそ400枚のプレパラートを読み込み、検体をデジタルデータに次々に変換していく。データをAI(人工知能)にディープラーニングさせ、病理医の診断をAIが支援できるようにするためだ。
世界的に不足する病理医
病理医の不足が今、深刻になっている。がんなどの病気になる人が増え、病理検体の診断需要は増す一方なのに、病理医は一向に増えていないからだ。街中の普通の病院で病理医を抱えるところはほぼない。検体は大病院に回され、順番待ちで診断を受け、結果が患者の元に返ってくるまでに1~3週間かかるというケースがざらだという。悪性のがんだった場合、3週間で病状が進行してしまうこともある。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1665文字 / 全文2268文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料!
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員になると…
特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「フロントランナー 創造の現場」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?