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果物の糖度など液体の多様な濃度を測る「屈折計」の国内シェアは約8割。小型化や利便性を追求するとともに、食品分野以外にも積極的に進出している。

国内製造にこだわり
埼玉県深谷市にあるアタゴの工場。海外に製造拠点を移せば品質管理に目が届かなくなるとの考えから、同所での製造にこだわる(写真=竹井 俊晴)

 「糖度13%、甘い!」。青果店やスーパーの果物売り場に掲げられた値札でそんな表記を目にすることが多い。果物の甘さの指標になっている糖度は、果汁にどれぐらいの糖分が含まれているかを示すもので、光の屈折現象を応用した「屈折計」という機器で測定している。

 用途によって「糖度計」や「濃度計」とも呼ばれ、糖度だけでなく塩分やアルコール、酸の濃度などを測ることができるものもある。この屈折計で国内シェアの約8割を誇るのがアタゴ(東京・港)だ。

危機感が最小モデル生む

 同社の看板商品はコンパクトな屈折計「PAL」シリーズ。英語で「相棒」の意味の名前を持つ同シリーズの基本モデルは高さ10.9cm、幅5.5cmと片手に収まる大きさで、使い方はセンサー部分に試料を数滴垂らすだけ。瞬時に糖度などがデジタル表示される。

 高級フルーツを扱う銀座千疋屋(東京・中央)・銀座本店フルーツショップの沢田稔店長は「果汁を入れるだけですぐに糖度を計測でき、手軽に使える」と話す。食品メーカーやラーメン店などで安定した味や品質を保つために使用されるほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で話題になったアルコール消毒液や、防錆(ぼうせい)剤、切削油の濃度を測るといった工業用にも使われている。同シリーズはアタゴの売り上げの35%以上を占める。

 この世界最小サイズのデジタル屈折計を同社が生み出したのは2003年のこと。きっかけはライバル企業の登場だった。