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海外製品が98%を占める国内繊維市場で、成長を続ける北陸の織物メーカー。1980年代から工場の情報・生産管理を進めて開発力を高め、商品企画に不可欠な地位を築いた。

多様な素材を開発
様々な用途に応じてきめ細かく繊維を開発。16年から発売するオリジナル製品の高機能素材も人気を集める

 繊維産業の一大産地、石川県・能登半島。のどかな町の一角でけたたましい音をあげながら生地を織り上げる合成繊維工場の中に、様々な色や風合いの6万点を超す生地サンプルがずらりと並んだ部屋がある。「テキスタイルスタジオ」と呼ばれる開発拠点。ここを訪れるのは、新商品開発を意気込む国内外のアパレルブランドの企画担当者だ。

 サンプルを見比べながら商品の色や質感、機能のイメージを固め、工場が持つ膨大な生地の設計データをもとにコンピューターで完成イメージをシミュレーションする。案が決まれば、わずか2週間後には試作生地が織り上がるというスピード対応だ。

 空洞化する国内繊維産業にあって合成繊維織物の製造を半世紀以上続け、今なお成長を続ける老舗織物メーカーが、丸井織物(石川県中能登町)だ。東レの下請け生産を主軸としながらも独自に開発力や提案力を磨き、アパレルブランドの商品企画を素材開発からサポートする「提案型」の委託生産へと事業を広げてきた。

 創業は1956年。祖業は能登上布という伝統的な麻の手織り布や植物繊維を原料とするレーヨン生地の生産だったが、61年から石油を原料とする合成繊維織物の生産にシフトした。